- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/30(日) 20:07:21.22 ID:txeY88/m0
- ― 一 ―
冬が来ていた。
僕が住んでいた田舎は、今頃雪に包まれていているのだろうか。
今歩いているこの街は、まだ12月の初旬だというのに赤と緑の彩りが目立つ。
クリスマス商戦か。きっと僕は今年の聖夜も独りで過ごすだろうから、虚しいな。
四畳半のアパートで、ペンや筆を取って淡々と絵を描く。そう、仕事をする。
時間はいつものように流れるだろう。
僕の部屋はテレビとかが無いから、それは尚更のことで。
ため息は灰色の空へと消える。
帰路を辿る僕のダッフルコートのポケットが小さく揺れた。
誰からの着信だろう。
( ^ω^)「おいすー。ブーンだお」
「ああ内藤さん? 三つ目のカットまだかなあ…」
(;^ω^)「あうあう。明日までにはきっと間に合いますお」
「頼みますよー本当に」
不満そうな声を僕の耳に残して、出版社の男は電話を切った。